下駄配列の拗音シフトの良さ
「1動作で画面上に表示される文字数が常に1つ」なのがメリットだとあります。これはその通りだと思います。見た目に自然ですし、ミス打鍵したときの[BackSpace]を押す回数も分かりやすくなりますし。
「入力規則が単純になる」というのがメリットだとあります。確かに、拗音シフトを搭載すると覚えることが多くなります。
しかし、下駄配列の拗音は規則的に配置してあるので、覚えやすくなっています。この程度なら十分習得できる範囲だと思います。
また、拗音とは別に「ゃゅょぁぃぅぇぉゎ」の小書きのかなも別個に(これも規則的に)配置することで、頻度の低いカタカナ語の拗音や、「まぁ」「ねぇ」「へぇ」などという文字列も入力しやすいようにしてあります。
私の個人的な経験でいうと、下駄配列で単独の小書きのかなを使う機会はほとんどありません。「イ段+ゃゅょ」の拗音シフトとよく使うカタカナ語の拗音15種類(※)でほとんど入力できています。
※よく使うカタカナ語の拗音15種類:「うぃ」「うぇ」「うぉ」「ふぁ」「ふぃ」「ふぇ」「ふぉ」「てぃ」「でぃ」「しぇ」「じぇ」「ちぇ」「とぅ」「どぅ」「でゅ」の15種類。最後の3つは無くてもいいかも。
下駄配列での拗音シフトの良いところは、二つあります。
一つは発音と動作するが一致すること、もう一つは動作数と打鍵数が少なくなることです。
まず「一つは発音と動作するが一致する」ことについて。
下駄配列ではどんな拗音でも1動作で入力できますので、発音数と動作数が一致します。同時打鍵系の配列の多くで濁音を1動作で入力できるようになっていて、その使用者はゆえに快適だと言っています。そうならば、拗音も1動作で入力できればより快適なはずです。私は事実その通りだと感じています。
ここで、拗音を搭載しない場合に、「“思考発音”に近づけるために“倍速打鍵の適用”をする」という話があります。しかし、私にはこの「倍速打鍵」の意味が分からないのです。「し」「ゃ」が倍速で打てるということは「し」「い」や「し」「ん」などはその半分の速度でしか打っていないということなんでしょうか。
前にも少し書きましたが、私はどんな文字列だろうと指が動きしだい次の打鍵をします。ある文字列を別の文字列の倍の速度で打鍵したいとは思いません。(これはかなり決定的な感覚の差ではないか?と感じています)
次に「動作数と打鍵数が少なくなる」ことについて。
下駄配列では「イ段+ゃゅょ」の拗音はすべて「1動作2打鍵」で入力できます。カタカナ語の拗音もよく使うものは1動作2打鍵で入力できます。
「1動作」という部分は同時打鍵系の配列でないと実現不可能でしょうが、「2打鍵」という部分も文字キー同時打鍵以外では実現が難しいのではないでしょうか。一部拗音は2打鍵でも、他の拗音は3打鍵以上になっているものがほとんどでしょう。
下駄配列では拗音をほぼ1動作2打鍵に収めることで、動作数も打鍵数も確実に減少させることができます。
さらに、拗音を搭載することで「ゃ」「ゅ」「ょ」をシフト側に回せるので、拗音シフトが無かったらシフト側に回っていたはずの文字を単打側(=シフト無し)に出せ、ここでも打鍵数を減少させることができます。特に「ゃ」と「ゅ」は頻度的には大したことがないので、これをシフト側に回せるというのは打鍵数削減に大きく貢献します。
このように拗音シフトはデメリットに比べてメリットが多いので、下駄配列では拗音シフトを搭載しています。
ただし、どんな配列にでも拗音を搭載した方が良いのかというと、そうは思いません。その入力システムとの相性を考えずに拗音シフトを搭載すると、いろいろと無理が出るからです。
例えば、[Shift]+[文字キー]に拗音を配置すると、まず、日本語入力に[Shift]を使わないで済んでいたものが[Shift]を使用するようになるということが負担です。さらに、[Shift]+[文字キー]でアルファベットでを入力できることにしていたなら、それも失うことになります。
中指シフト(前置きシフト)的に搭載する場合でも、シフト自体を増やすと単打で打てる文字が減ってしまいますし、同手シフトに配置するとしても、中指との同手で良い運指は限られています。
さらに、同時打鍵以外のシフトに搭載すると、拗音シフトを搭載したところで拗音は結局2打鍵です。
それならば、普通に「ゃ」「ゅ」「ょ」を単打に配置して、イ段の配置を工夫した方が良いや、ということになるでしょう。
文字キー同時打鍵の場合ですと、同時打鍵に拗音を搭載すれば、拗音はすべて1動作(2打鍵)で入力できますし、シフトを増やしても単打で入力できる文字が減るなどのデメリットがないので、拗音シフトと相性がよいのです。
拗音シフトを無理なく搭載できるというのは、文字キー同時打鍵配列の大きなメリットだと思います。