右手一列シフトを使う七つの理由

もともとの目的は親指シフト(NICOLA)を使っていたときに[変換]を右手親指の位置に合わせるためでしたが、やってみると右手一列シフトには他にもメリットがいくつもあることが分かり、親指シフトから離れたあとでも継続しています。今では右手一列シフトなしのキーカスタマイズは考えられないというくらい。
右手一列シフトにはどんなメリットがあるのでしょうか。
1.[変換]が右手親指で押しやすくなる
これは親指シフト以外でも大きなメリット。これで左手親指で[スペース]と[無変換]、右手親指で[変換]と[ひらがな]を担当するようになり、親指の機動力が十二分に生かせる態勢が固まる。
[変換]に担当させる機能だが、左右の親指で「漢字変換」→「変換確定」の流れを作るのが良いと思う。私は単純に[変換]を[Enter]に置き換えている。[Enter]にするのは不安がある場合は、IMEのキーカスタマイズで「変換確定」にしたり、[変換]の方に文字通り「漢字変換」を担当させ[スペース]の方を「変換確定」にするなどの手もある。
2.[Enter]が近くなる
[Enter]は変換確定や改行など日本語入力中でもよく使うキーなのにへんぴな場所にある。いくら大きくても右手小指の3つ外側というのは遠すぎる。ホームポジションが崩れる原因の一つ。
右手一列シフトにすれば、小指ホームから[:]を一つ挟んで隣が[Enter]になる。これなら十分小指から届く位置になる。
3.[右Shift]が近くなる
右手一列シフトにすると[右Shift]も近くなる。[Shift]は左しか使っていないという人も多いかも知れないが、やはり[Shift]は反対の手で押した方が押しやすいと思う。[右Shift]を使わないのは、[Shift]は一つで十分だからではなく、[右Shift]の位置が悪いからではないか? これだけ近くなれば、[右Shift]も快適に使える。
それでも[Shift]は一つでいいという人にとっても、それなら[右Shift]に別の機能を割り当てるという選択ができる。これはこれで大きなメリットだろう。[Delete]を割り当てるなどの手がある。
※[BackSpace]も近くなるのですが、これはそれほど近くなるわけではないし、キーボードをカスタマイズしようと思うなら、[BackSpace]自体をもっと押しやすい位置に移動する事をおすすめします。というわけでメリットには挙げません。
4.右手小指の負担が減る
右手小指の二つ外側まで文字キーがあるというのは右手小指の負担が重すぎる。なんで短くて弱い小指にこんな広い範囲を担当させるのだろう。
右手一列シフトにすれば、右手小指の外側だったキーが人差し指(左右どちらでもよい)の担当になり、指の負担のバランスが良くなる。JISかな入力など、キーボードをフルに使う配列にも有効なのではないのだろうか。「かにホーム」と異なり、英字配列との互換性が保たれるというメリットもある。
5.中央列を機能キーとして使える
右手一列シフトにすると中央の縦一列に使わないキーができる。ここに何を配置するか。単純に元右端列のキー([\]、[[]、[]]、[_])をそのまま持ってきても良いが、もともと元右端列はそんなに使わなかったというのなら機能キーに置き換えてしまう手もある。
私は上から順番に「窓切替」([Alt]+[Tab])、[↑]、[↓]、[Delete]にしている。これらのキーをホームポジションから離れずに単打で押せるのは嬉しい。
元右端列のキーは、私は右下の[右Alt]、[右Windows]、[Application]、[右Ctrl]をつぶして割り当てている。他に、別のキー(例えばテンキー)のシフト側などに取り込む、こんな使用頻度の低い記号は変換で出せればいいと割り切る、などの手もある。
6.[:]→[BackSpace]の位置が自然になる
これは NICOLA式の[:]→[BackSpace]を使っている人限定。
この[BackSpace]の位置は操作性は良いのだが、文字キーの領域に突然機能キーが配置されている格好となり、やや不自然な感じがする嫌いがある。
右一列シフトにすれば、[:]がちょうど[Enter]の隣に従えられて置かれる格好となる。これなら機能キーが置かれてもそれほど不自然な感じはしなくなり、見た目にも分かりやすい。
7.対応が簡単
右手一列シフトのすごいところは、これだけ多くのメリットがありながら、対応するための努力がほとんどいらないことだ。ホームポジションをずらすなんてさぞ慣れるまでが大変だろうと思うかも知れないが、実際のところ違和感はまったくない。右手一列シフトにしたその日からすぐに使える。
また、右手一列シフトに慣れたあとで普通のキーボードを触っても問題なく使える。
こんなに多くのメリットがある右手一列シフト。あなたも今日から使いませんか?
右手一列シフトを実現する方法ですが、もちろんキーカスタマイズソフトを使います。キーを入れ替えるだけでいいなら『KeySwap for XP』が駐在しないので良いと思います。もうちょっとカスタマイズがしたいなら『猫まねき』、少し難しいですが『窓使いの憂鬱』なら相当自由なカスタマイズができます。
他にもキーカスタマイズソフトはたくさんあるので、気に入るものを使ってください。
『Vector』;「ダウンロード > Windows > ユーティリティ > 操作関係 > キーボード用ユーティリティ」
フリーソフトを使う際は、readme.txtなどソフトの説明をよく読んで、自己責任で使用してください。
右手一列シフトのデメリットも挙げると……。
1.[スペース]を右手親指で押すことができない
左右の親指で担当キーを分けるのが目的なんだからこれは仕方がない。今まで[スペース]を右手親指で押していた人にとっては慣れが必要です。
2.タイピングの最適化に支障が出る
右手一列シフトをすると、[Y]や[B]などを打つのに左右の手を使い分けるという技ができなくなってしまいます。とにかく文字キーを早く打ちたいという高速タイパーにとっては厳しいかも知れない。
※「最適化」:本来担当する指以外の指でキーを打つこと。
詳しくは『GROW LAND』の「タイピング講座」をご覧下さい。
3.キートップを[F]と[J]だけ入れ替えることができない事がある
右手一列シフトを使うと、当然ながらキーボードのキーに刻印されている文字と実際に入力できる文字が食い違ってきます。そのままだと使いにくいと思うので、キートップを引っこ抜いて入れ替えることをおすすめします。キートップは上に引っ張れば抜けますし、抜きにくかったらマイナスドライバーでも差し込むと楽に抜けます。
が、ここで一つ問題が。キートップのうち[F]と[J]だけ差し込み口の形状が異なっていて入れ替えることができないキーボードが多いのです。例えば、LogicoolのStandard Keyboard(iK-20WH)(いわゆる「ロジテックの一番安いやつ」)、ELECOMのUSB Standard Full Keyboard(TK-U09F2LG)がそうでした。
このキーはキートップにホームポジションを示す突起が付いていますから、ことさら重要です。
対策ですが、私は100円ショップで売っているシールを細長く切って、2、3枚重ねて貼って突起を作ってます。すぐはがれるかと思ったけど、結構大丈夫です。逆に元[J]の方にはシールを一枚貼って突起が目立たないようにしています。
また、キーボードによってはキートップの入れ替え自体が難しい場合もあります(ノートパソコンとか)。そういう場合は各キーごとにシールを貼れば良いでしょう。
※関連記事
「俺的キーカスタマイズまとめ:その2 右手一列シフト」