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ローマ字入力でもなく、かな入力でもなく

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新下駄配列作成の原則

 新下駄配列をどういうことを考えて作ったのか、どういう狙いで作ったのかということを連載していきたいと思います。
 後半では、なぜその文字がそこに配置されたということも書くつもりです。が、しばらくは具体的な配置の話ではなく、抽象的な話が続くと思います。捉え所のない話になるのであまり面白くないかもしれません。しかし、この部分を書かずして具体的な配置の決定理由を書くことはできないので、順番に書いていくことにします。
 まずは、土台となる新下駄配列作成の原則についてから始めます。

新下駄配列作成記1

■新下駄配列作成の原則

 まず、新下駄配列を作成していく上で、どのような原則で作成していくのかを決めました。
 新下駄配列は、次の3つの原則で作成しました。

1.方針を立てる

 文字の配置を考えたり、実際に使ってみる前に、新下駄配列をどのような配列にするのか方針を立てます。シフト率は少ない方がいいのか多くても構わないのか? 各指の使用率はどれくらいか? 左右の使用率は? かなの連なりを入力しやすくするには? それぞれの要素がどれくらいにするのか、どれくらい重視するのかを決めて、実際の配列作成ではその方針に従って作成していきます。

 問題は、どのような要素を持った配列が使いやすいかどうか“使ってみる前に”わかるかどうか、ということです。
 そこで、新下駄配列を作る前に、さまざまな配列を実際に使用してみました(※)。そして、どのような要素を持った配列が使いやすいのかを、自分で体験してきました。新下駄配列の方針は、各配列を使ってみて自分が使いやすいと感じた要素を採り入れるようにしました。

※ある程度使用したことのある配列:かな入力、ローマ字入力、NICOLA(親指シフト)、月配列2-263式、月配列U8版、下駄配列、飛鳥配列、けいならべ(v2も含む)、星配列、小梅配列。(「新下駄配列作成の歩み」

2.データを見る

 方針を立てたら、それに従って配列を作ります。しかし、どのような配列にすればその方針に近づくのかが分からなければ、配列を組み立てていくことができません。
 どのような配列にすれば方針に近づくことができるのか。それを決めるのがデータです。新下駄配列を作成するにあたっては、文章に対する十分なデータを先に収集しました。実際の配列作成では、データを見て作成しました。
 そのデータは、自分が集めたデータが100万字データです(「新下駄配列の作成に使用したかな出現数・連なりデータ」)。さらに、それと合わせて小梅配列の作者である141Fさんが作られた10万字サンプルも見ました(「Weblog 61℃: 10万字サンプルにおける文字の出現頻度。」「Weblog 61℃: 10万字サンプルにおける 2-gram 頻度。」)。

 配列の使いやすさは、実際に文章などを入力するときに使いやすいかどうかで決まります。
 しかし、実際に入力される文章は千差万別で、ある文章に対しては使いやすいが、ある文章に対しては使いにくい、ということが起こります。特定のジャンルで良く出る言葉や言い回しというものもあるので、ある時期に入力した文章に対しては使いやすかったが、入力する文章の傾向が変わったら使いにくくなった、ということも起こりえます。
 実際に文章入力を繰り返して使いやすいとどうかを判断するという方法だと、その時々に入力する文章に影響され続けてしまいます。
 あらかじめデータを集めておき、配列はそのデータに従って作成します。これにより、ある特定の文章に対しては完璧ではなくても、どのような文章に対してもある程度使いやすい配列を完成させることができます。

3.カンで決める

 データは完璧ではありません。
 データ自体が間違っている可能性があります。注意深くデータを収集しても、世の中に存在する文章に対してデータの量はわずかですので、データの内容に偏りがあることが考えられます。
 また、データに表れにくい部分が、実は配列の使いやすさに重要な要素である、ということもあります。

 データの不完全な部分を補正するものが、配列作成者のカンです。使ってみる前に、あるいは少し使ってみて、「これはいい」「これはダメだ」とカンで決めます。
 先にも書いたように、わたしはこれまでさまざまな配列を実際に使用しきました。どのような配列が入力しやすいかのカンを育ててきたつもりです。



 「方針を立てる」「データを見る」「カンで決める」という新下駄配列作成の原則を3つ挙げました。
 この中で一番重要なのは「カンで決める」です。たとえ方針に逆らっても、データに表れていなくても、自分のカンを優先します。配列を作っていく上で「こうした方が使いやすい」と思えば、そうします。

■新下駄配列作成記 目次
# by koutarou_13 | 2011-01-30 20:58 | ●新下駄配列作成記

新下駄配列作成記 目次

【基本情報】
「新下駄配列を作りました」
「新下駄配列の9つの特徴」
「新下駄配列と下駄配列の同じところと異なるところ」
「新下駄配列で1万字入力する場合の打鍵数」
「新下駄配列の作成に使用したかな出現数・連なりデータ」

【原則】
01「新下駄配列作成の原則」

【方針】
02「新下駄配列の基本的な方針」
03「速さと楽さは同じこと」
04「総打数が少ないことをめざす」
05「簡単に高速入力ができる同時打鍵シフト」
06「清音と濁音は別々に配置する」
07「拗音を配置する」
08「押しやすいキーはどれか?」
09「アルペジオを活用する」
10「左右使用率は気にしない」

【骨格】
11「使用するキー」
12「配置する文字」
13「同時打鍵として使用する組み合わせ」
14「シフトキーをどこにするか」
15「拗音シフトキーをどこにするか」
16「配置場所の確認」

【作成】
《1.単打側》
17「上位3文字「い」「う」「ん」」
18「人差し指の同指配置」
19「中指・薬指のホームポジション」
20「句読点の特色」
21「中指上段と右手小指」
22「キー文字「す」」
23「上位文字を好所の単打側に」
24「残りの単打側」
25「長音符を単打側へ」
《2.シフト側》
26「シフト側の好所争い」
27「「おもう」「られる」「される」」
# by koutarou_13 | 2011-01-30 00:00 | ●新下駄配列作成記
 「それにしても新下駄配列の練習で『タイプウェル』やってる人多いなー」と最近のブログやTwitterなどを見て思うのです。
 適切な練習方法は人それぞれですので、良いと思う方法で練習するのが一番だと思いますが、新下駄配列などの新しい配列を覚える際に『タイプウェル』のようなタイピングゲームを活用するのは、とてもいいと思います。

 もっとも単純な練習方法は、最初に配列図をある程度覚えて、あとは普段の文章入力で実際に使いながら慣れていく、というものだと思います。
 しかし、それは当然文章を考えながら練習するということになります。文章を考えるというのは大変なことだと思います。頭の中からすらすらと文章が出てくるという人なら良いですけど、自分の場合、考えて文章を書くときは、適切な言葉が浮かばずに指を止めてうんうんと考えてる時間が長いです。みなさんはどうでしょう?
 文章を考えるだけでも大変なのに、新しい配列で入力するのも大変なので、大変なことを同時にやっているということになり、これはとても大変な作業になります。新しい配列の練習は実際の文章入力とは別にやって、ある程度慣れてから実戦に投入した方が余計な苦労をしないで済むと思います。
 それに、指を止めて考えている間は当然練習にならないわけですし。

 理由をもう一つ。
 もし、練習するのがPC初心者だとしたら、タイピング“だけ”を習得しても意味がありません。PCで文章を作るには、タイピング以外にもさまざまな要素が必要です。IMEの操作を習得することも非常に大事ですし、書いた文章の編集・校正作業、テキストエディタやワープロソフトの使い方、書いた文章を保存してそのファイルを移動・コピーする操作を覚えることも重要です。それらを覚えるためには、すべての操作を総合的に練習できる実際の文章作成を通じて練習するのも良いかもしれません。
 しかし、新しい配列を覚える場合というのは、タイピング以外の要素については一通り習得していると思います。いま練習したいことはただ一点、新しい配列でのタイピングのみです。
 タイピングゲームというのは、文章入力のさまざまな要素の中で、まさにタイピング部分を切り取ったものです。他の要素に時間を取られることなく、効率的な練習ができます。



 『タイプウェル』を使って新下駄配列を練習している方のブログで、こんな感想がありました。
ふと思う。

各文字の出現頻度を考慮して作られた新下駄配列の練習として、文字の出現頻度も単語の出現頻度も文脈も考慮してないであろうタイプウェルははたして適切なんだろうか?
「新下駄配列練習――タイプウェル国語R 12日目 - plsの記憶のカケラ」

 確かに、『タイプウェル国語』に収録されているワードの選択には、実際の文章のかな出現率は考慮されていないかもしれません。
 しかし、ある程度のワード数を集めてその中で良く出てくる文字というのは、実際の文章でも多く出てきます。よほど極端にワードを集めない限り、大きな偏りはないと思います。
 タイピングゲームだけで実際の文章のタイピングをすべてカバーできるとは言えませんが、いま話しているのは、配列を覚える最初の段階である程度入力できるようになるまで利用するということです。遅かれ早かれ実際の文章入力を通じての練習(というか本番)もするわけですから、練習ワードが多少実際の文章と違っても問題ないと思います。

 試しに、『タイプウェル国語』のワードのかな出現数を調べてみました。ワードのデータは、「Articles - How To Become A Typer」の「TWJR/K ワードセット」を使用しました。作成手順は『Kanji2na』でかなに変換→『morogram』で解析という流れです。

●解析結果のテキストを、出現数順で並べ替えたもの:twj_word_1gram.txt
(一番右の数字は、そのかなの「100万字日本語かなn-gramデータ」での順位です)

 『タイプウェル国語』のワードは自立語が中心ですので、助詞で使われる文字がランクダウンしています(「の」「に」など)。あと、「カタカナ語」という練習モードがある影響で、カタカナ語で使われる文字が軒並みランクアップしていますが(特に「ー」)、これはいいでしょう。練習モードは選択できるのですから。
 それ以外は、おおむね「100万字日本語かなn-gramデータ」に近い順位になっています。句読点の出現数がゼロであることだけは新下駄配列的にはちょっと残念ですけどね。仕方ないけど。

 「単語ではなく、文章で練習をした方が役に立つのでは?」と思う方もいるかもしれません。
 それもそうですが、新しい配列の練習を初めてまもなくは、文章の練習をするのはかなり大変だと思います。練習ワードは短い方が楽です。
 『タイプウェル』ですと単語で練習できるので、そういう意味でも『タイプウェル』は新しい配列の練習に適していると思います。
# by koutarou_13 | 2010-12-31 16:07 | ●新下駄配列あれこれ
 「新下駄配列を作りました」で公開していた新下駄配列の『DvorakJ』用設定ファイルに不具合があったので差し替えました。

 不具合の内容は、改行コードがLFになっていたため、設定ファイルを読み込んでも文字が入力できない、というもの。自分のPCの中ではCR+LFだったのですが、設定ファイルをアップロードする際にLFに変換されていたのが原因です。

 今までダウンロードした方には大変ご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。

 なお、『DvorakJ』に同梱されている新下駄配列の設定ファイルの方は、問題ないようです。
# by koutarou_13 | 2010-12-22 01:18 | ●新下駄配列あれこれ
 『のどか』で新下駄配列を実装するファイルを作りました。
 『のどか』は、日本語入力配列を変更することを主眼に置いたソフトではありません。しかし、それでもロックキーを利用することで、やや強引ながらも同時打鍵配列を実装することができます。

 今回のファイルでは、日本語入力であることを示すモディファイヤIJ-を使用しています。(以前「のどかで配列変更する場合でも、ATOKの省入力変換を使えるようになった」で紹介しました)
 これにより、IMEのモードを英数入力にしたときに英数入力ができるようになります。
(なお、IMEのモードを英数入力にしなくても、[Shift]を押しながら文字キーを押すことで英数入力をすることもできます。)

 ただし、『のどか』ではIMEの状態を正しく取得できないことがあるようで、IMEなどによってはIME ONでも配列が変更されていないことがあるようです。
 自分の試してみたところでは(OSはWindows Vista 32ピット)、『MS-IME』ではこちらの意図通りの挙動になりますが、『ATOK 2009』と『Google日本語入力』ではIMEの状態を取得できないようでした。(「ユーザーサポート - 汎用キーバインディング変更ソフト「のどか」公式掲示板 237-238」も参照)。

 同時打鍵を実装する仕組みは、以前「窓使いの憂鬱で「シフト専用文字キー同時打鍵システム」」で作ったファイルと同じものです。全3018行におよぶ、ぱっと見ではなかなか理解しにくいファイルです。
 このファイルをそのまま利用するだけなら中身を見る必要はありませんが、自分で配列を変更しようとする場合は仕組みを理解していないと厳しいと思います。

 「タイピングゲーム(かな入力)用」は、同時打鍵の設定などは同じで、出力するキーがかな入力でのキーになっているものです。これを利用すると、『タイプウェル国語K』などのかな入力用のタイピングゲームをすることができます。



 『のどか』で新下駄配列を実装する場合、他の実装手段(『姫踊子草』『DvorakJ』『やまぶきR』)と比較すると、タイマーがないという特徴があります。つまり、同時打鍵の判定でタイマーの救済措置を受けることができません。
 しかし、自分が使ってみたところでは、問題なく使えました。使い始めてすぐはおっかなびっくり入力している感じでしたが、慣れてくると意識せずに入力できるようになりました。普通の文章入力で使えるのはもちろん、『タイプウェル国語K』のタイムアタックというシビアな判定が求められる状況でさえ、漢字で自己2位(XE)の記録が出るなど、他の実装手段と遜色のない記録を出せました。
 理論的には不利なはずだという気もするのですが、要は慣れということでしょう。

■ダウンロード
Sin-Geta.nodoka
Sin-Geta_t.nodoka(タイピングゲーム用(かな入力用))
Sin-Geta_tr.nodoka(タイピングゲーム用(ローマ字入力用))

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# by koutarou_13 | 2010-12-21 22:41 | ●のどかor窓使いの憂鬱な生活

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